開発案件が見つかり受注することになれば、いよいよ実際の開発に向けて発注者と交渉が始まります。通常は、業務委託契約を結んで契約した業務を請け負い、納品して対価(報酬)を受け取る形になるでしょう。 業務委託契約の対象は成果物業務委託契約とは、一定の業務を遂行することで対価(金銭など)を得る契約です。 プログラマが開発業務を行う業務委託契約であれば、「提示された仕様を満たすシステムを開発する業務」を行って成果物(開発したシステム)の検収後に報酬を得る、といった形になることが多いと思います。 規模な大きなシステム開発では、最初あるいは一定の動作を実現するシステムができた時点で報酬の一部を支払う契約になることもあります。 業務委託契約の対象は、あくまで業務そのもの(成果物)である点に注意してください。「開発にかかった時間・労力」は、関係ありません。 予想以上に開発に時間がかかったから報酬を増やしてくれ、といったことはできないわけです。見積もりを求められた時は、提示された仕様を満たすのにどの程度のコストがかかるか、慎重に検討しましょう。 案件によっては、成果物ではなく「役務」を提供する業務委託契約を結ぶ場合もあります。この場合は、契約で定められた業務を定められた期間行うことで報酬を得るので、雇用契約に近い性質を持つことになります(ただし、労働者としての法的保護はありません)。 在宅プログラマの業務委託契約の流れ企業と在宅プログラマが業務委託契約を結ぶ場合は、まず機密保持契約(NDA)を結ぶのが基本です。これは、業務のために取得した非公開の情報を漏らしてはいけませんよ、という契約で常識的に考えれば「納得」できる内容になっていると思います。 機密保持契約で注意が必要なのは、開示されたソースコードや素材を他の案件に流用したりSNSで思わず「〜の会社で〜を開発することになりました!」などと喜びの声を上げてしまうことですね。もちろん、こうした行為は「契約違反の流用/機密漏えい」にあたります。(発注者から明示的な許可を得ていなければ)絶対に行わないようにしましょう。 企業と情報を共有する基本となる機密保持契約を結ぶと、開発案件の詳細が送られてきます。外部のプログラマとして参加する場合は、素材については用意されたものをそのまま使う形になると思いますが、念のため素材の調整(画面サイズに合わせたリサイズや容量削減のための減色・最適化、音声ファイルの秒数/ビットレート調整)をどちらが行うかについても確認した方が良いかもしれません。 契約内容では、まず案件のスケジュールや仕様、またコーディングで使用可能なライブラリ(GPL不可、著作権表示が必要なものは不可、など制約が課される場合があります)を確認しましょう。スケジュールは「甘い」幻想を持ちがちで「何とかなるだろう」という気になるものですが、その幻想は「土壇場」で打ち砕かれます。 具体的に「どれだけの作業ができるか」自分の普段の生活をイメージしながら「計算」してください。実際のコードを完成させるだけでなく、問題点の検証や修正がどれだけ発生するか、対応機種や契約における瑕疵担保責任の範囲を確認しながら検証しましょう。特に開発者が一人という案件だと、プログラマだけでなくデバッガーとしての役割も求められる場合があります。 契約書のスケジュールや仕様に問題がないと判断したら、「仕様変更」の扱いを確認します。ソフト開発の案件では仕様が変更されるのはよくあることですので、その場合の追加請求をどうするか、明確にしておく必要があります。少なくとも、「仕様の変更や追加があった場合は、その対応の可否や費用について協議する」ことだけははっきりさせましょう。 スケジュール、開発費、仕様変更、検証作業……案件全体を見て在宅勤務プログラマとして参加できると判断したら、業務委託契約を結びます。契約書の内容について問い合わせを行い回答を得ていたら、その回答は後に確認できる形で保存しておくのを忘れずに。 無事に業務委託契約を結べば、いよいよ在宅(受託)プログラマ生活の始まりです。 |